雫となーこさんが館内巡りをしている最中、蓮見さんは一人だった。
察しがいい彼は、言っておくがと言う。
「俺ではない」
「それは苦しい言い訳ですよ」
「落としたんだろう」
「猫耳を、ですか」
「ともかくも俺ではない」
「やっぱり誰かが盗んだんだー」
「待ってくださいよ、なーこさん。蓮見さんの言う通り、誰も猫耳だけを盗む泥棒なんかいませんよ」
「柳葉、何が言いたい。落としたもない、盗まれたもないなら、あとは」
「処分されたんじゃないんでしょうか」
微かに蓮見さんの指先が動く。
「根拠は?」
「根拠も何も、僕は蓮見さんが犯人前提で話の筋を見ています」
「ちょ、そーちゃん。蓮見さんに失礼だよ!」


