「じゃあ、やっぱり誰かに盗まれんだー」
ひーんと泣くなーこさんを、蓮見さんが待て待てと押さえる。
「バカかお前は。どこの世の中に猫耳盗む奴がいる。どこかに落としたんだろ」
「違うよー、買い物の時のハンドバッグに入れてないもん!服とか入れているバックにー」
「勘違いしたんだろ、どうせ」
蓮見さんの言い分が正しそうにも見えるが、なーこさんの様子から間違えるということはないらしい。
僕には理解できないが、泣くほどだ、大切な猫耳なんだろう。
第一、猫耳なんて代物、落とすものなのか。落としたら落としたで分かりそうなものだが。
となると。
「蓮見さん……一人の時間がありますよね」
問えば、蓮見さんがこちらを見る。
「まあ、あるにはあったが」


