(三)
ケータイを見れば、六時二十分ほど経っていた。
そうしてソレは突然にやってくる。
「わーん」
「よしよし、なーこさん。きっと見つかりますよ」
「……」
僕の部屋にやってきた、雫となーこさん。ついで蓮見さんが扉前であきれ返っている。
「……、聞いてあげるけど、どうしたのさ」
「聞いてよ、そーちゃん!なーこさんの大切な猫耳がなくなったの!」
それは語気を荒げるほど大変なことなのかと言いたいところだ。
「私の命がー、わーん」
「なーこさん大丈夫ですよ。そーちゃん知らない?平野さんにも聞いたけど知らないんだって」
「平野さんにも聞いたんだ……」
驚きながらも、きちんと答える平野像が出てきた。
蓮見さんも居合わせたか、思い出したくないという風に眉間に手を置いている。


