トイレとシャワー完備。同じ造りといっていたから、多分、他の部屋もそうなんだろ。
ホテル経営できるぞ、この洋館。
ドライヤーや歯ブラシ、タオルなどのアメニティもきちんとあるし、申し分ない。
不自由なく暮らせそうだと思ったところ。
「……」
時間を見るために開いたケータイが圏外だった。
まあ、承知済み。こんな山奥じゃ普通に電波なんかないだろう。使いたきゃ、麓に降りればいいだろうし。
時刻は、三時三十七分。ふむ、それなりに時間は経ったらしい。
ベッドに横になりながら、七時まで時間あるなーと思えば、扉が開いた。
「ノックをしろ」
「鍵かけないそーちゃんが悪いよ。どーうすんの、ウチが危ない人だったら」
「雫は十分に危ない人だよ」
痛いという意味で。


