「雫、お前は一人でいなさい」
一つ余った鍵を雫に押し付けた。
あからさまにえーなんて表情をされる。
「僕は一人でいたいんだ」
「そーちゃんのいけずぅ」
ふざけた感じの雫にはいけずで結構と言っておく。
僕たちは荻原さんやなーこさんたちのようにカップルじゃないんだ。一緒の部屋になることもないだろう。邪魔だし。
「では、鍵と同じ番号のプレートへどうぞ。午後七時から夕食となりますので、それまではお好きにお時間を使ってくださいませ。館内を巡るもよし、外に出るのも構いません。私に用事がある際はどうぞなんなりと」
「夕食を作るのってあんこさんですか」
言えば、はいと言われる。
「あんこと私が。ああ、六時あたりなら厨房にいますので、何かあったさいはそちらへ。皆様の期待添えるように腕をふるいますね」
では、と平野さんが去った。


