「これから旦那様が挨拶に来ますからねぃ。あと少々お待ちくださいなぃ」
ぺこーりとゆっくりなお辞儀をしてあんこさんが去る。
「むむ、これはダージリンだね、そーちゃん」
「カモミールだよ」
雫と軽い会話を交わせば、扉が開く。
入ってきたのは平野さんと知らない男性だ。
察するにこの屋敷の住人か。ベージュのズボンに白シャツ。貧相な顔立ちに相応しく、痩せている。リーマンの典型みたいな人だ。
庭師?とか予想するが、どうも違うよう。
「ほ、本日は、ようこそおいでくださいました。僕は可憐の夫の小鳥遊出流(たかなし・いずる)です……」
緊張気味の挨拶をする出流さんに、皆一様にお辞儀をする。
例の捨てられ寸前のご主人か。 婿養子らしいから、小鳥遊さんに頭上がらなそうだ。


