「おいちゃんがここにいるのは、くれぐれもしーっやで」
「なんだよ、おっさん。浮気か」
「男なさかい、たまには羽も伸ばしとうなるんよ」
なー、と相づちを求めれば、二ノ宮さんがねーと返す。
あはは、奥さんかわいそうとは思えど、素性が分かってない相手にばらしようがない。
適当な会話が右往左往していれば、またノック。
今度はあんこさんだった。
銀のトレーに、カップとポット。オレンジジュースが入ったコップを乗せて入ってきた。
どうもと言いながら、紅茶を注ぐあんこさんを見る。
見てると、ばあちゃんを思い出した。死んだけど。
一息つく。
紅茶はなかなか美味しいものだった。雫とて、ほんわか顔になっている。


