歩いている内に、前から割烹着姿のおばあちゃんが来た。
芳蔵さんが止まったので、僕たちも止まる。
「あんこ、二人分の紅茶も用意しておくれ」
「はい、分かりましたよぅ」
ここだけ見れば、純日本風景のおじいちゃんおばあちゃんだった。
おばあちゃんが僕たちの前でお辞儀をする。
「初めまして。平野あんこと申しますぅ」
「平野って」
「私の妻です。夫婦共々、この屋敷に仕えているのですよ」
補足してくれた平野さんになるほどと思う。
あんこさんだなんて可愛い名前だなぁと思った。ぽたぽた焼きのおばあさんが具現化したみたいだ。
「何か困りごとがありましたら言ってくださいねぇ」
なまりか語尾がなめらかに伸びる。あんこさんはまたお辞儀をして、通りすぎていった。


