ローズの残り香が漂う。かしこまりましたとジェントルマンは、背を向けた小鳥遊さんにお辞儀をした。
柔らかな笑みでジェントルマンがこちらを向く。
「では、広間に案内いたします。申し遅れましたが、私は平野芳蔵(ひらの・よしぞう)と申します。皆様のお世話をするのが役目ですので、不都合がございましたら何なりとお申し付けください」
ジェントルマン改め、平野さんというらしい。気分的にはジェームズという名前がしっくりくるのだけど。
「僕は柳葉草(やなぎば・そう)。こっちは、美和雫(みわ・しずく)です。三日間よろしくお願いします」
雫共々、お辞儀をした後に、広間に案内される。
紅茶色のカーペットが敷き詰められた廊下に、高そうな絵画。
本当にお金持ちなんだなぁと妙なとこで実感する。


