「どこっ、アイゼンハイムはどこなの!」
いないからか、期待とヒステリックが混ざった声を出す小鳥遊さんに、ジェントルマンが言う。
「アイゼンハイム様はご都合により来られないらしく、こちらの方々が代理で」
「来られないって……」
顔を真っ青にして良さそうなほど、小鳥遊さんは言葉を無くしそうになっていた。
余程の期待を持っていたのだろう。
これはまずいと、僕は懐の手紙を渡した。
「あの……アイゼンハイムが、これをあなたに……」
野良猫でも相手するような感じで渡せば、魚みたいにひったくられる。
ざっと目を通し、手紙を封筒に戻す。
戻した後に小鳥遊さんは、僕と雫をじっと見た。
やがて諦めたように。
「平野、この方たちも丁重におもてなしなさい」
そう言って背を向けた。


