そんな僕を察してか、お気になさらないで下さいとジェントルマンは続けた。
「こんな場所です。遠路遙々から来たのでしょう。大事な客人を無碍にはできません。大丈夫です、私めはあなた方を歓迎いたしますし。奥様にも私めから話を入れますので」
ジェントルマンっ、と涙しそうになった。
なんて優しいおじいちゃんなんだろうか。
お願いしますと頭を下げて、ああそうだと僕はもう一通の封筒を出した。
宛名は籠の小鳥さんへ。差出人はアイゼンハイム。
「あの、小鳥遊さんにこれを渡してくれとアイゼンハイムが……」
渡そうとした手が止まる。ついで、受け取ろうとしたジェントルマンも止まって振り返った。
かつんという音。
二階から出てきた新たな人物。


