雫とふざけたやり取りをしている内に、やっと目的地が見えてきた。
家というよりは、屋敷の屋根が見える。坂上にあるせいかはっきりと確認できないけど。
はあと深く息を吐く。あともう少しだ。ラストスパートでも決めようとして。
「……、あれ?」
僕は足を止めた。
雫もつられて足を止める。
「どうしたのぅ」
「あそこに誰かが……」
僕が指差した先を雫が見る。
指差した方はなんてことない木々であり。
「誰もいないよ」
雫がそう言うのは無理もなかったが、僕はそれに首を傾げる。
「おかしいな、黒い服きた人が……」
いたんだと言いかけてやめる。見間違いだったみたいだと雫に言って、僕たちは再度歩き始めた。


