脈をはからなくても、呼吸を見なくても分かる。


ああ、死体とはこんなに不恰好なのか。


「出流さん……」


赤い水につかる奥様の代わり、出流さんが浴槽の中で死んでいた。


ただ、今度は水はなく、出流さんの血もろとも排水口に流れていく。


胴体をメッタざし。犯人が楽しみながら出流さんを刺し続けるのがイメージできた。


長居は無用と蓮見さんとみんながいる場所に戻る。


「灯籠、何があったの……」


彼氏の顔の変化は分かりやすいか、なーこさんが聞いた。


「奥様の死体はなかった。代わりに……旦那さんの死体が……あった」


「うそ……」


「出流さんが……」


雫となーこさんが身を寄せ合い。


「旦那様まで、ああ……」


「あんこ……!」


あまりのことに倒れそうになったあんこさんを平野さんが抱き止め。