アイゼンハイムからの招待状



それは、蓮見自身あり得ないと思ったことだった。


文章的にはおかしくないが、肝心な部分が抜けている。


なぜ、警察が来ない。


十分でケータイの電波が繋がる麓につくのだ。それから警察が来るまで時間がかかるはずがない。店の万引きじゃあるまいし、人が死に、更に犠牲者が出るかもしれないという通報を警察が野放しにしておくものか。


頭が回る蓮見は最悪の結末を予想していた。


ただ、それを口にしないのはこれ以上犠牲者を出さないために。


草が言った鍵をかけて固まっていろという的確な指示を守るために。


「そっか。そうですよね……」


蓮見の思い通りに雫が座る。


遅かれ早かれ――いや、助けが来るのが遅いほど、また雫は探しに行こうと言い出すだろう。