「いつもジュースを飲んでる
 あの場所で待ってる
   
 急がなくてもいいよ
 
 ほんの少しだけでもイツキの
 元気な姿が見れたら
 それでいいから・・・

 じゃあね」

延期になってから、待ち続けた
ライブの時間が刻々と
近づいてくる。
  
杏は、ライブの用意の合間に
キッチンに立ったまま
お茶を飲んでいると

その隣に雅也、父親が立つ。
 
そして、杏に声をかけた。

「アン、今日はライブ
 なんだってな
 
 帰りは、あんまり
 遅くなるんじゃないぞ・・・
 
 なんだ・・・
 その歌い手の奴が病気で
 今日に延期になったんだろう
 
 どうなんだ、そいつの具合は
 ・・・大丈夫なのか?」

椅子に腰をかける父親に、杏は
お茶を注いだコップを渡した。
 
「ありがとう」