家に帰ると、リビングでマンボウが昼の情報番組を観ていた。


ソファに寝ころび、下のヒレを器用に曲げて口に煎餅を持って行っている。


お前は主婦か。というかどうやってそのヒレで煎餅掴んでんだよ。


ツッコミたいことは多々あるが、海斗の歓声でそのタイミングを逃した。


「すげー! まじでマンボウがいるし!」


まあ無難な反応であろう。


マンボウは突然の珍客に、まん丸の瞳がさらに見開き、すぐに海斗へと向き直る。


「こんにちは、確か海斗君だったわよね」


「え? なんで俺の名前知ってんの?」


「さあ、なんででしょうね」


はぐらかすマンボウ。


気にはなったが、説明する手間が省けたので良しとしよう。