なら海に帰れ。せめて水族館に行け。
俺の心は読めているはずなのに、マンボウは完全無視して紅茶を口にした。
手がないマンボウがどうやって紅茶を飲んだかというと、下のヒレの先をカップの手の所に引っ掛けて、グググッと無理やり口に持ってきたのだ。
ピクピクして飲みづらそうだ。
なかなか進まないティータイム。マンボウの辛そうな表情に気付いたのか、芽衣が台所からストロー持ちだしマンボウの持つカップにそっと入れた。
「あら、ありがとう芽衣ちゃん」
「えへへっ」
芽衣は気が利いて優しい子だなぁ……て、どうして芽衣の名前まで知ってるんだこいつ?
ますます謎だ。摩訶不思議。
マンボウはストローを加え紅茶を吸うと、
「うわっちゃぁ!」
お約束な展開になった。



