マンボウの住む家


台所に行き紅茶のティーパックを取り出していると、芽衣がマンボウの身体をあちこち触っているのが目に入った。


まあ気になるよな普通。


好奇心旺盛の年頃だし、しかも宙に浮いたり喋ったりできるマンボウだ。


好奇心をくすぐられないわけがない。


ベタベタ触る芽衣だが、マンボウは特に意に介した様子はなく、なにやら芽衣と話している。


俺が触った時はマンボウの身体はベタベタした謎の液体に覆われていたが、今はその心配もないようだ。芽衣の手は汚れていない。


良かった。芽衣に変な液体が付着しなくて。


だけど後で手を洗わせておこうと固く心に誓い、俺はマンボウに淹れたての紅茶を渡した。


「え、パックの紅茶? 葉っぱ切れてるの?」


贅沢言うな魚類のくせに。


「ちゃんと葉っぱからやらなきゃ駄目じゃない。マンボウってデリケートな魚なのよ」