「少年、アレが去ったら説明する。だから静かにしているんだ、いいな」
釘を指すようにつぶやかれた男の声。
耳元で直接響いた声から生暖かい息が耳にかかった、チャールズはその不快な感触をまぎらわせようと肩をすくめたが顔はあきらかに嫌そうだ。
そんなチャールズを知ってか知らずか、真っ白ないたって痩せても太ってもいない猫はヒゲをピクピク、大きなアーモンドに似た目を上に下に左右をせわしなく見る。
一歩、二歩、三歩
トットット、リズムよく歩いてはヒゲをピクピク辺りを伺い
行儀よく座って顔を洗う。
トットット
猫特有のしなやかな背にスラリと伸びた足、尾は天井にピンッと伸びてどこから見ても絵になる。
それはこの部屋が気味の悪いエメラルドグリーンだからなのか
それともあの猫がチャールズの側の女性にも勝る白い毛を持つからなのか、黒いフィルム越しに見ても光沢が猫自体を輝かせて見せる。



