トリッティーの壁から手




「トリィ、ブラウン少年は説明が欲しいそうよ」



「説明?説明って、なんの」



いろいろあるはずだが本当に解っていないようだ。



めんどくさそうに女は横目でジトリとトリッティーを睨み付け、そのあとまたどこかジトリと見詰めた。



「俺か?」



それは姿の見えない男だった。



どうやらトリッティーの隣、マレイネスの下にいたらしく……チャールズが座るよう促された場所でチャールズは驚きと怒りに目を丸くした。





「わざとだな」


チャールズは握りこぶしを固く作った。



わざとに決まっている!?



自分たちは見えない何かが見えてるくせにわざとぶつかるよう仕向けるなんて。


「チャス?なにが」



「見えてるくせに……僕には見えないんだ!なんなんだよ、解るわけないよ、誘拐しといていきなりこんな所にいて、見えない人間までいるし……なんか馴れ馴れしいし、名前まで調べて……」



息継ぎも忘れて、言ってることもよく解らずに、チャールズは最後に真っ直ぐ大声をだした。









「なんなんだよお前ら!?」