「なぁーいい加減にしてくれないかぁ〜」
コツコツコツコツ
コツコツコツコツコツコツ
石造りの地面が僕の歩調にリズムを奏でる。
もう走ってるのと変わらなくなってきた。
また体が熱くなって息が荒くなる。
コツコツコツコツコツコツコツコツ
コツコツコツコツコツコツ
「はぁ……」
僕は息を大きく吐くと少しだけ足を緩めた、なんでこんなところで徒競走なんてしなきゃならないんだ。
辺りはすっかり夜に幕を変え、遠くでホウホウと鳥が鳴いている。
都会よりは田舎に近い町は、家々の光がいくつも窓からもれだしていた。
美味しそうな匂いも今の僕にはつらい。
家にいたってこんな匂い、外でしか味わえないから……。



