「何か、用……?」



当たり前のことを当たり前に聞けば、少年は杖をくるっと回して右から左にもちかえた。



上下、杖の先端はどちらも持ち手になる変な作りをしている。




少年は、左で杖を遊び右手でツバをくいっと上げて僕を見てこう言った。







「いやいや、ちょっと助けてもらいたくてね、ここに来たら君がいたんだよ」




「助け……?助けなら警察がうろついてるからそっちに言ってくれよ、急いでるんだ!」



じゃっ、とすぐさま踵を返して先を急ごうと反転した瞬間






「なになに〜冷たいやつだなぁ」



「わっ!?」




目の前にあの少年が居たのだ。


さっきまで後ろにいたはずなのに……



二、三歩後退した僕を少年はくすくす笑った。



杖をくるくる回して至極楽しそうに……。





「お、脅かすな!!」


その笑いに腹がたち怒鳴ると、今度はキョトンと目を丸くする。



なんなんだこいつ。



僕は早く先に行きたくて堪らないのに、見知らぬ少年にいきなり邪魔をされイライラしていた。