「あの、すいません」


入学式の日、いきなり男子生徒に声をかけられた。


「湘南高校ってあれですか?」


どうやら彼は高校を探していたらしい。
しかも私と同じ高校。

彼も私と同じく新入生なのだろう。


「どこのクラス?」
「…五組」


なるほど。私と同じクラスだ。


「一緒に教室まで行かない?」


突然の私の誘いに彼は少し困っているようだった。


「じゃあ、お願いしようかな」


彼は私に笑みを向けて言った。



「自己紹介まだだったね。俺は、西崎海斗」


海斗は東京から引っ越してきたらしい。

「永井唯です。海斗と同じクラスだからよろしく」


それから私達はお互いの事を話した。


教室に行くと席は海斗の前だった。



入学式の校長の話は長かった。

椅子に座っていなかったら絶対倒れていた。


海斗はおもいっきり寝ていた。


「唯、一緒に帰らない?」


私の家から海斗の家までの距離はそんなに遠くはなかった。


「あははっ。おっかしー!!」


海斗の話はとても面白くて、周りの人が振り向く振り向くぐらい笑った。


「海斗、漫才出来るよー」

「いやいや。唯だって面白いよ」

「そぉ?」


それから私達はまた笑い話をした。