以心伝心! 志氣高校 洋将棋部

 「君は強がってる」
 「孤高な騎士道でもゆくつもりか。けれど、ミヤコが言いたかったのはそう じゃないんだよ?」

 僕は黙って、この三笠というヤツの次の言葉を待った。
 
 「ナイトってのはさ、隣接マスに対して無力だろ?」
 「孤独を愛するとか、そんあ大それたモンじゃない。恐いだけさ、他人との接触が―――」


 そうだ、ナイトは隣のマスに対して何もできない。
 最弱のポーンに対しても距離をとるしかない。
 それは事実だが。


 事実だが――
 「……気に入らねぇわ」
 僕はソイツ、三笠という名札をつけた男を睨んだ。


 嫌悪しか湧いてこない。
 初めてだ、こうして他人に対して激昂するのは。

――! 嫉妬?
 これがジェラシー……? まさか……

 「何でも知ってるつもりか?」
 「何も気づいていないのはアンタ達の方だ」
 「アンタ達は発情期の犬みたいに、青春ごっこを続けていればいい」