ビショップか…

 「俺、あんまり、好きじゃない」

 
 僕は二、三度、それを空に放った。


 『ビショップ』。

 彼がどこまで進もうとも……
 彼は結局、同じ世界にしか辿り着けない

 (ビショップの移動範囲は無限だが、斜めにしか移動できないので、結局、同じ市松模様上の色を行き来する事になる)



 可愛そうな『ビショップ』

 そう、『屋上のビショップ』
 

 僕は、その打ち捨てられたような駒をポケットに押し込んで、学校を後にした。