以心伝心! 志氣高校 洋将棋部

 「高屋くん、暇なら手伝って」
 と、誰かが声をかけてきた。その声色は、ちょっとばかり勇気を必要とされただろう、上擦った声だった。


 視線を向けると、彼女達は『のれん』を作っていた。紫色の大きな生地を裁断していて、傍らにはミシンが待機している。


 僕は当然、気付いていた。

 もちろん僕を必要としているワケではない。一人でいる僕を気遣っているのだ、と。


 やれやれ、何で皆、こう優しいのだろう?
 

 僕は当惑してしまう。


 
 僕は微笑んで辞退を示すと、たまらず教室を出た。