以心伝心! 志氣高校 洋将棋部

 「言ってみ?」
 三笠は部屋に入って、パイプイスの背もたれを前にし座ると、笑顔で言った。妙に満足そうだ。


 「“大会”、“パートナー”、“戦力”」
 僕はやれやれ、と首を振って列挙した。
 「いや…あとひとつ。 …あの、何してるんです?」

 
 「…………あ、私?」
 スプレー・レディーはスクッと立ち上がった。
 身長は僕より少し低いぐらい。170とか。
 日本人にしては高身長だが、体の線がとても華奢なので、大柄な印象はない。


 「…………」
 彼女は僕に歩み寄ってくると、まるでワイングラスで乾杯をするように、手にしたペットボトルを僕の鼻先に差し示した。
 「…………」


 「へ?」

 
 「…………」
 彼女は無言で飲みかけのペットボトルのコーラを、僕の顔の前に差し出し続けた。