「…犬は嫌いか?」
だが、三笠は動じない。
ちょっと首を傾け、不思議そうな顔をした。
「バカか、おまえ? そう意味じゃ――」
「君も、犬になれよ。一ヶ月でいい。犬になっても良いんじゃない?」
三笠は屈託なく笑った。
『猫の恩返し』のキャッチコピーみたいだった。
『猫になってもいいんじゃない?』、と。
彼の笑顔は悠々としたものだった。
僕の毒を丸のまま飲み込んでしまうような器がその笑みにはあった。
その瞬間、僕はなぜだろうか、自分が急に恥ずかしい存在に思えた。
自分がまるで、シベリアンハスキーの前で、必死に体を大きく見せようと威嚇するチワワになったように感じた。
――キャン、キャン、キャン
やかましく吠えたてている小型犬だ
そんなイメージを持つと急に怒りが収まって、今度は自分が情けなくなってしまった。
だが、三笠は動じない。
ちょっと首を傾け、不思議そうな顔をした。
「バカか、おまえ? そう意味じゃ――」
「君も、犬になれよ。一ヶ月でいい。犬になっても良いんじゃない?」
三笠は屈託なく笑った。
『猫の恩返し』のキャッチコピーみたいだった。
『猫になってもいいんじゃない?』、と。
彼の笑顔は悠々としたものだった。
僕の毒を丸のまま飲み込んでしまうような器がその笑みにはあった。
その瞬間、僕はなぜだろうか、自分が急に恥ずかしい存在に思えた。
自分がまるで、シベリアンハスキーの前で、必死に体を大きく見せようと威嚇するチワワになったように感じた。
――キャン、キャン、キャン
やかましく吠えたてている小型犬だ
そんなイメージを持つと急に怒りが収まって、今度は自分が情けなくなってしまった。


