それからすぐに寮の門を抜け、エントランスに辿り着いた。 彼とはここで、お別れ。 「初対面なのに、なんかいろいろとありがとう」 爽やかな笑顔と共に、彼が言った。 お礼を言いたいのは僕の方だ。 なのに『ありがとう』って、たった一言が言えなくて。 持ってくれていた買い物袋を差し出され、それを受け取ると彼は「じゃあ」と言って歩き出した。 「あ、そうだ!」 僕も自室に向かって歩き出そうとした時、彼がそう言って足を止めた。