『…私が首を横に振れば戦になるのでしょうか』

「ないとは言えんな」

『巧哉様を傷付けてしまうのでしょうか』

「……ないとは言えんな」

『父上?』

「何だ」



『私……巧哉様を心より愛しく思います』


巧哉様、
人々は“極楽浄土”だとか“輪廻転生”などと仏教を信じているのだと聞いた。
その時、私は「輪廻転生したところで同じこの世に興味はない」と思っていたのだ………でも今は死んだら“輪廻転生”とやらで籠に捕らわれない身となり、あなたに会いたい。



だから――
あなたの御側におれない私を
自分を偽る私を


殺しほしい。






桜にはもう蕾は残っていない