「花火が終わったら帰る! 行ってきまーすっ」
玄関に出されていた草履を履いて、家を出た。
結城橋まではのんびり歩いて20分程。
6時まで15分を切っている今、悠長に歩いていられない。
浴衣の裾を気にしながら、早足で歩く。
夕方の色に染まる道筋は、浴衣姿の人もちらほらといた。
昼間の暑さの名残か、熱気が肌を汗ばませる。
ああやだ、メイクが変になっちゃったらどうしよう。
もう少し早く出ればよかった。
待ち合わせの時間ぴったりに行きたいのに。
『家は目の前なのに、いちいち待ち合わせなんてしなくていいだろ』
鉄太のむくれた声を思い出す。
『だってだって、待ち合わせってやつを、やってみたいんだもん』
デートはそうするでしょ? というセリフをどうにか飲み込んで、鉄太を見た。
『めんどくせぇー』
肩を竦めた鉄太は、それでも最後には
『結城橋に6時な。遅れんな』
と言ってくれた。
鉄太はいつもぶっきらぼうに優しい。
あたしの大好きな幼なじみ。
玄関に出されていた草履を履いて、家を出た。
結城橋まではのんびり歩いて20分程。
6時まで15分を切っている今、悠長に歩いていられない。
浴衣の裾を気にしながら、早足で歩く。
夕方の色に染まる道筋は、浴衣姿の人もちらほらといた。
昼間の暑さの名残か、熱気が肌を汗ばませる。
ああやだ、メイクが変になっちゃったらどうしよう。
もう少し早く出ればよかった。
待ち合わせの時間ぴったりに行きたいのに。
『家は目の前なのに、いちいち待ち合わせなんてしなくていいだろ』
鉄太のむくれた声を思い出す。
『だってだって、待ち合わせってやつを、やってみたいんだもん』
デートはそうするでしょ? というセリフをどうにか飲み込んで、鉄太を見た。
『めんどくせぇー』
肩を竦めた鉄太は、それでも最後には
『結城橋に6時な。遅れんな』
と言ってくれた。
鉄太はいつもぶっきらぼうに優しい。
あたしの大好きな幼なじみ。