ガラスのタンポポ

「わぁ…、翔ちゃん!虹だよ、虹!」


傘を打つ雨の音がしなくなったと思ったら、奏来の指差す方向に七色のアーチができていた。


「ソラ、虹大好き!翔ちゃんは?」


「虹も奏来も大好きだよ」


奏来は困ったように笑った。


近頃、時々こんな顔をする。


オレ達の形が変わってからだろうか。


この顔を見る度、オレが奏来の隣にいるのが不自然になったのかとか、それとも、オレのする事が奏来にとっては迷惑なんじゃないかとか不安がよぎる。


でも、すぐにそんなつまらない考えを頭を振って打ち消す。


奏来はここにいるじゃないか。


昨日は宿題の見せっこした、おとついはオレのやきそばパンを一口食べた。


時々見せる困ったような顔は、少しずつ近づいているオレ達の距離に戸惑っている奏来の心の表情に違いない。


きっと、すぐに慣れるさ。