「来年も翔ちゃんと一緒だと嬉しいなぁ」


「奏来、無理言っちゃいけないのよ。翔ちゃんには翔ちゃんの将来があるんだから」


将来、か、…。


いつまでも子供と大人の境をさまよう訳にはいかないんだ。


明日もあさっても、きっと今日と変わらない。


けど、一年先はどうだろう。


こんな風にみんなで食事しているんだろうか。


欠けているのは…誰だろう…。


賑やかな食事を終えておばさんと奏来は後片付けを始め、それからみんなでケーキとアイスをすっかり胃袋におさめた。


最後に兄貴と2人、おじさんの仏壇に手を合わせ、奏来ん家を後にした。


この日、オトばあは兄貴の事を「孝司」と呼ばなかった。