ガラスのタンポポ

オレ達兄弟は。


どうなってしまうんだろうなんて、漠然と考える時がある。


どちらかが奏来を奪ってしまったら。


それとも誰か他の男が、奏来を連れ去ってしまったら。


オレは、オレ達はどうなってしまうんだろう。


「何?翔ちゃん、難しい顔してー」


あどけない表情の奏来にドロドロした気持ちを見透かされそうで、すっかり冷めてしまったコーヒーに口をつけた。


「新しいコーヒー、いれてこよっか?」


「いや、いいよ。オレ、なんかコンビニでアイスでも買ってくるよ」


「奏来も行くぅー」


奏来はおばさんに一言断って、


「翔ちゃん、行こっ」


無邪気に手を伸ばす。


自然と絡まる奏来の指は白く細く、強く握ってしまうと折れてしまいそうでちょっと不安になるけど、包んであげる手がどうかオレだけでありますように、と、祈らずにはいられない。