ガラスのタンポポ

「お母さん、鶏の唐揚げ追加しよっ!」


「そうね。やっぱり大人数でご飯て、嬉しいわねぇ」


なんか兄貴に会うのは久しぶりのような気がする。


向き合う事をしなくなり、建築デザインの会社に勤めた兄貴の帰りは毎日遅く、たまに家族で飯を食っても年の離れた兄貴との共通の話なんてなかった。


正確に言うとあったけれど、お互い口に出さなかった。


奏来の事だ。


共通の話は奏来の話だったけれど、どちらも口には出さない。