*********** オトばあが壊れてしまったのは、奏来の父親の四十九日が過ぎた頃だった。 落ち着くまでしばらく遠慮していたが、この日はおばさんから電話が入り、奏来の家へ兄貴と2人で遊びに行く事になった。 「おじゃまします…」 線香の匂いの漂う部屋に踏み入ったその時だった。 「孝司!孝司、やっぱり生きてたんだねぇ!孝司!!」 何が起こってるのか、瞬時には理解できなかった。 オトばあがおじさんの名を泣き叫びながら兄貴にすがりついている。