ガラスのタンポポ

「奏来、頑張ったな?」


兄貴がかがんで奏来の手を取るのをじっと見つめているだけ。


奏来は泣き出しそうな顔で、ただ首を横に振った。


「ううん、奏来は頑張ったんだよ。だからその分流してもいいんだよ。泣いて、わめいて、それからまた少しずつ笑顔を取り戻せばいいんだよ」


「聖ちゃん…っ…!」


「ほら、おいで奏来」


兄貴はそっと奏来を抱くと、すっぽりとおさまった細い肩が小さく震えた。


やっと泣ける場所を与えてもらった奏来は、いつまでも兄貴の腕の中で泣き続けた。