ガラスのタンポポ

「いいか?翔。今の奏来に誰もが同情という感情をくれる。でも、今奏来が欲しいのは、そんな安っぽい気持ちなんかじゃないと俺は思う。考えて立て直せよ」


当時、小学生だったオレにも兄貴の言ってる冷静な言葉の意味は理解できた。


そうだ。


“可哀相に”


“まだお子さんも小さいのに気の毒ね”


ガンという病名を知らされてから、嫌という程、奏来はこのうすっぺらい耳障りな言葉を聞いてきただろう。


そして、この先も。