ガラスのタンポポ

「ねぇ、今からでも吉永くん達と…」


「んあ?いいんだって。アイツらとは早弁も一緒に食ってんだから、今更女子の手つなぎトイレみたいに断ったところで、オレ達の友情は壊れなーい」


ノロノロと後ろをついてくる奏来の頭をポンと叩くと、オレを見上げて小さく笑った。


奏来は笑うと、左の頬にえくぼができる。


きっとこの学校で奏来のえくぼを知っているのは、オレくらいだろう。


それ程に奏来は笑わず、周囲を拒んでいる。


あの日を境に、奏来は変わったんだ。


あの日一一一奏来の父親が死んだあの日から……。