ガラスのタンポポ




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チャイムが鳴ると、奏来は誰とも挨拶を交さずに教室を出る。


オレは真之達に、


「ラーメン、ゴメン」


とだけ言うと、ブーイングを背中で聞きながら、ゲタ箱へ走った。


「そーらっ♪」


「ん…、何?翔ちゃん?」


ゲタ箱のローファーを持つ手がちょっと迷う。


「帰ろうぜっ」


「あ、でも、吉永くん達とラーメン…」


「いいって、ホラ行くぞ」


迷っている手からローファーを取り床に転がすと、奏来は軽く溜め息をついて細い足を入れた。


「…ダメって言ったのに……」


後ろでまた溜め息を聞くけど、それもいつものパターンで、オレ的には気にならない。