奏来は。


自分の悲しみは背負う事ができたんだ。


オトばあの事も、自分のガンも。


でも、オレが苦しみ悲しむ姿は耐えられなかったんだ。


オレの涙の分まで背負えなかったのだ。


そうだよ、な…。


あんなに細く小さな奏来に、どこにそんな容量があるだろう。


兄貴なら。


兄貴なら、奏来に泣く場所を与えられる。