ガラスのタンポポ

授業中、ケータイばかりが気になる。


それを知ってか、奏来は一時間置きにメールを送ってきた。


“咳がひどいので、これからタクシーで病院に行きます”


“少しお粥を食べて、きちんと薬を飲みました”


“起きてテレビを見ています”


時間の止まったあの家で、オトばあと奏来の2人きり。


すぐにでも授業を抜け出したいけど、そうすればきっと奏来は気に病むだろう。


だから放課後まで待ってから奏来ん家へ向かった。


「翔ちゃん、おかえり!」


と、出迎えてくれた玄関には、兄貴の靴があった。


リビングに入ると、兄貴が車椅子のオトばあを向かいに座らせ、あやとりを見せていた。


夏祭りのあの日以来、何もかも失ってしまったはずのオトばあの表情が、心なしか明るく見えた。