ガラスのタンポポ

奏来はすぐに鞄からケータイを取り出してメールする。


“おばあちゃんは帰って来て、すぐに寝ました”


送信先は、おばさんと兄貴。


心配をかけぬようこのメールをするのも日課になっていた。


毎日使っているせいか、ガラスのタンポポが幾分くすんだように思えて、


「今度、また買い物行こうか?」


と、切り出した。


「お買い物?」


「うん。そのストラップ、だいぶくたびれてきたから新しいの買ってやるよ」


「ううん、いいの。ソラはこのガラスのタンポポが好きだから」


手に取り大事そうに眺める奏来は、やっぱり沈んだままだった。