ガラスのタンポポ

「翔ちゃんといるとドキドキするね?」


「当たり前だろ。彼氏と彼女だぞ?もっとトキメけ」


「うん…。翔ちゃん?」


「ん?」


「大好き」


しばらく抱き合ってオレは温かい奏来を抱きながら、冷めていくコーヒーを眺めていた。


それでも静寂を破るチャイムが容赦なく鳴る。


オトばあが帰って来た。


2人で出迎えに行くと、オトばあは小さな咳をした。


「おばあちゃん、風邪…?」


「ハイ。施設内で風邪が流行っていて。みなさんマスクをするようにしてるんですが、口を覆う違和感からかはずしてしまう人が多くて。オトさんもマスクをはずしてしまうです。感染防止には努めてるんですが、うがいもできない状態で。うつってしまったのかもしれません。申し訳ありません」


「いえ、家で様子見てみます」


「オトさん、今日はこれでさようなら」