ガラスのタンポポ

「おばあちゃーんっ。もっと強く押してぇ」


「そんなに強く押しちゃ、ソラが飛んでっちゃうよ」


ソラ。


あの子の名前なんだ。


ひらがなもろくに書けやしないオレだったけれど、“ソラ”という響きはすんなり胸の奥の方へ入ってゴクンと飲み込んでしまうと、二度と忘れられない春の絵のタイトルになった。