禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟

おいしいクッキーに、いい香りの紅茶。

普段からこんなものを振る舞われた日には、私はカロリーの過剰摂取でデブチンになっていることでしょう。

が、そのクッキーも紅茶も、社交辞令の一口しか手をつけていません。仕事だから? 取材中だから? 違います。普段の取材だったら、いただいています。そのほうが、相手さんと親密になれますから。話題が話題だから? いいえ。

ただ、そう、気分が悪いんです。

「ええ、大事な息子ですわ」

と、しゃれたティーカップをそっとソーサーに戻した土屋夫人は言いました。

「願うなら、息子には一生幸せでいてもらいたい。そう思います」

「ええ、ですよね」

この人は変だ。そう感じたのは、会話を始めてすぐでした。

だって、

「早く、戻ってきてくれないかしら。私、待ちきれなくて」

まるでともきくんが、ちょっとしたお泊まり会へ行っているように話すのですから。