問題なのは、その土屋ともきくんが、失踪しているということ。

香蘭さんの言葉が、嘘だと思いませんでした。が、心のどこかで、その番地に土屋という家はないだろうと……思っていたというよりも、期待――いえ、否定、したがっていたのかもしれません。

だって、その家があるということは……。そして、その家のお子さんに、香蘭さんがお菓子を与えに行ったということは……。

インターホンを押すのにたたらを踏んだことは、数少なくありません。今までガンクビ入手の時にも、何度この緊張を味わったことか。

けれど……今日のは違います。だって、この家のお子さんは失踪し、そして……まだ、遺体は発見されていませんが、たたりもっけは死んでしまった子供の妖怪なのです。それを知っている私は、そんなつもりはないのに、お子さんの死を告げに来たような心持ちなのです。