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ひまわり通りは、全長五百メートルもの商店街です。往復するばかりでも大変な時間がかかるこのストリートには、数階建てのデパートや家電製品店などなども軒を連ねているため、一から十まで巡ろうとすれば、丸一日かかると言っても冗談になりえません。

ところで、ひまわり通りには途中、いくつか小道があります。それは、微妙に弧を描いている通りの近道になるものもあれば、飲み屋街へ繋がる道、時代に取り残された古い町並みへ続く道、様々です。倭ノ宮駄菓子店への小道も、そのひとつでした。全国チェーンされている某ドーナツショップと、アジア系のアクセサリーなどを専門に扱う店の、狭間。大人が体を横にしてようやく通れるくらいの、小道中の小道があります。ちゃんとそこが『道』であることは、そこに立つ電信柱が語っています。なぜなら、街灯がついているのですから。とはいえ、やはり一般的に見れば、道と呼べるほどではないのでしょう。そこが『人の通る道』たる証明の照明は、だいぶ昔に切れてしまっているのか、夜になっても灯ることがありません。

なんにせよ、小道は小道なのです。そこを抜けた先に、かの奇妙な倭ノ宮駄菓子店は存在しているのです。