太宰治をイメージした例の頬杖に戻った桔梗さんは、ともすればなにか思いついたように立ち上がりました。
香蘭さんとは違い、突っ掛けるの文字通りテキトーにブーツを履いた彼は、踵を踏んだまま店の中を左から眺め、私の横を通過し、右端で止まりました。そこから、煙草のケースによく似た……ああ、シガレット・チョコを手に取りました。売り物だと誰より理解しているはずなのに、おもむろに開けて、袋も開けて、中から一本シガチョコを出した彼は、それをくわえます。それをやってる心境がなんとなーくわかるので、苦笑が絶えません。
「ふむ」
ばり、ぼりがり。
「煙草とはまったく違うの」
「そりゃそうです」
「煙も出ん」
「当たり前です!」
この人はシガレット・チョコをなんだと思ってるのでしょう。「いいこと思いついた!」という顔でやりだしただけに、なんとフォローを入れていいか、私のキャパシティには負えません。
というよりですね。
「それであのぉ、香蘭さんは?」
ペンも手帳も構えてはいませんが、まさか私が香蘭さん特集を組めるだけの情報を与えないつもりでしょうか?
香蘭さんとは違い、突っ掛けるの文字通りテキトーにブーツを履いた彼は、踵を踏んだまま店の中を左から眺め、私の横を通過し、右端で止まりました。そこから、煙草のケースによく似た……ああ、シガレット・チョコを手に取りました。売り物だと誰より理解しているはずなのに、おもむろに開けて、袋も開けて、中から一本シガチョコを出した彼は、それをくわえます。それをやってる心境がなんとなーくわかるので、苦笑が絶えません。
「ふむ」
ばり、ぼりがり。
「煙草とはまったく違うの」
「そりゃそうです」
「煙も出ん」
「当たり前です!」
この人はシガレット・チョコをなんだと思ってるのでしょう。「いいこと思いついた!」という顔でやりだしただけに、なんとフォローを入れていいか、私のキャパシティには負えません。
というよりですね。
「それであのぉ、香蘭さんは?」
ペンも手帳も構えてはいませんが、まさか私が香蘭さん特集を組めるだけの情報を与えないつもりでしょうか?

