「せっかく皆揃ったんだから、仲良く遊ぼうよ、ね?」

私が蓮君に言うと、蓮君は少しだけ不満げな顔をした。まあ、気持ちがわからないでもないけど。

「薺菜が言うならいいけどさ…俺はもっとイチャつきたかったっつうかさ…」
「私もだよ。だから、観覧車は2人で乗ろうね?」

蓮君がいじけ始めたので私はフォローを入れた。途端に顔を輝かせる蓮君が子供みたいで可愛い。

絶叫マシンに突っ走っていく葵君と紫陽君、それを必死に追う緋山君、そんな3人を見て笑う菜々子と、菜々子を優しく見つめる水木さん。

私の周りには、幸せがたくさん溢れている。その幸せの中に、私もいる。

私は、自分からキスをしたくなった。皆が、蓮君が、愛おし過ぎて、幸せ過ぎて。その想いを唇に乗せて、大好きな人に届けるの。

ちら、と蓮君を盗み見る。私の企みには気付いていない。繋いだ手はそのままで私は精一杯背伸びをした。

唇を寄せた蓮君の頬はたちまち朱く色づいて、それでも覚悟を決めたような真剣な顔が近づいてきて。

唇が、重なった。





     fin